2015年7月11日土曜日

役立つ電子 ~夏期講習~

2015年7月11日土曜日
役立つ電子 ~夏期講習~

講師:横川理彦
特別聴講生:カズウ(メテオール)

●1時限目:P-MODEL/平沢進 衣装の変遷
●2時限目:平沢サウンドの要『増4度』とは何か~初歩の楽理~
●3時限目:質問コーナー拡大版

役立つ電子は初参加。当初行く予定ではなかったけれど、とある日のツイ恥タイム後に
「キャンセルが出たので代わりの人を探している」との情報が・・・。
なんというチャンス。すかさず手を上げ、講習を受けることになった。

個人的には、2時限目の増4度についてがおもしろかった。
必要なところだけ取り出して解説してくださったのと、音を聴きながらだったのとで、
楽器を弾けなくても、楽譜を読めなくても、感覚的に理解することができた。

横川さんは淡々と飄々とお話しになるイメージ、しかし平沢さんに対する愛情と
畏敬の念が随所に感じられた。
それと、平沢さんを「平沢くん」と呼ぶことが新鮮すぎて、最後まで慣れなかったなあ。


●1時限目:P-MODEL/平沢進 衣装の変遷

★長髪期/マンドレイク

プログレなので長髪。
当時の平沢くんはジェネシスの
スティーヴ・ハケット(左)に似ている。






★ニューウェーブ・カジュアル(統一)期/In a model room、Landsale

Landsaleの頃のカラフルな感じが、当時のP-MODELをよく表している。

「美術館で会った人だろ」の赤緑の衣装、毒々しい配色はバンドの戦略。



★ニューウェーブ・カジュアル(バラバラ・モノトーン)期/Potpourri~Karkador

Television : Marquee Moon (左) のジャケットが同じようなイメージ。

(ふるへPVの最初のよろめきギターについて)シャツとギターの組み合わせ、平沢進のアクション完璧です。もう一回見ちゃお(巻き戻し)



★フォーマル1期/one pattern~凍結


この頃から衣装がバンド内で統一されてくる。

平沢さんのは海軍の軍服みたい。
田井中さんは快傑ハリマオ!笑










(左)衣装は王子。
(右)キッツイなあw

Another day元ネタ↓
LAST NIGHT IN SOHO/DAVE DEE GROUP





★フォーマル2期(近未来)/解凍~培養

解凍Pのラバースーツはソフトバレエの衣装を作っていた田口さんという人のデザイン。

ことぶきさんめっちゃ似合う。平沢さんはかっこいい男の子が好きなんだな、ということが分かりますね。

(SPEED TUBEライブ映像を見ながら)
ソフトバレエの森岡くんと秋山さんは一緒のポジション。
もうキーボードもいらないから全身見せればいいのに笑



★核P-MODEL

真ん中に田井中さんを付け加えたい。TAINACOでも可。







★平沢ソロ

(左)文化人、偽科学者、パフォーマーという感じ。

(右)失敗例ですね。ハワードジョーンズのPVみたいに、もう一枚上に黒のコート着るべきだった。





(左)ライブ百虎野
SF的キチガイ博士、宇宙船艦長みたい

(右)ライブ賢者のプロペラ
今に通じる。文化人にしてアーティスト。
ほどよいマオカラー

★僕(横川さん)が平沢くんに勧める衣装
ブランド物を着るべき。BOGLIOLI(ぼりおり)というイタリアのブランド。
背が高くなくても、顔が小さくなくても成立するファッション。
肩のライン、ズボンのラインがきれい。お勧めしたい、マジで。



●2時限目:平沢サウンドの要『増4度』とは何か~初歩の楽理~
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まず基礎。自分なりにまとめ。当日配布されたレジュメはこちら

 【半音・全音】半音は白鍵黒鍵関係なく、お隣同士のキー。ド・ド#とか、ミ・ファとか。
 全音は半音+半音の関係。つまり、ひとつ飛ばした音。ド・レとか。

 【度】キーとキーの間がどれだけ離れているかを表す。同じ音(ド・ド)は0度でなく「1度」。
 (ド~ファ)は4度、(ド~ソ)は5度。完全4度、完全5度とも呼ばれ、和音でも相性の良い音。

 【増4度】(ド~ファ)が完全4度なら、半音上がった(ド~ファ♯)を増4度という。

 【リディアン・スケール】ドレミファ#ソラシ(ファだけ半音上がる)

 【ホールトーン・スケール】ドレミファ#ソ#ラ(音と音の間がすべて全音)
 そのまま弾くと鉄腕アトムのイントロに。

 歴史的に見ると増4度を開発したのはドビュッシー。
 平沢さんの中で全音音階がテーマになったのは、キングクリムゾンがきっかけだと思うとのこと。
 (たとえばキング・クリムゾンの「RED」をロックからテクノにすると、P-MODELになる。)
 (小ネタ)ジミヘンのパープルヘイズのイントロにあわせて、美術館で会った人だろを歌える。
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★『P-MODELのコンセプトを考えるときに、「ちょっとヘン」な、ホールトーン・スケールを
 バンドイメージにしようと決めた。
 そこで、「ホールトーン・スケールを用いた楽曲制作」にあたった。
 1枚目のIn a model roomでは11曲中8曲がホールトーン・スケールで作られている。』

これを聞いたとき、以前平沢さんが「(P-MODELは)いちいち戦略がある」とおっしゃっていたことを思い出し。戦略のひとつを聞けた喜びと驚きで、わたしは目だまが落っこちそうになった。

★3枚目Potpourriではホールトーン・スケールの使い方が進化したそう。
いままでは主にイントロ部分で、メジャーキーで使用していたが、たとえば
・「青十字」はマイナーキー
・「Jungle bedⅡ」ではコード進行に含まれている
・「いまわし電話」ではベースラインが増4度を行ったりきたり など。
ちなみに「ベースラインが増4度」は平沢さんの曲に多いとのこと(FloorやLeakのイントロ等)。

★(横川さんにとって)すばらしい大好きな1曲、Echoesはリディアン・スケールの用法、
P-MODELではっきりしたリディアン・スケールが使われたのはこの曲がはじめて。
リディアン・スケールは、J-POPでよく使われており、感動を呼ぶメロディの半分がこれ。
Leak、One Pattern、Licorice leafもリディアン・スケール。

★ちょっと変わった増4度の使い方といえば、SIM CITYのサビの部分
『 繰り返し 繰り返して キミは誘うよ(A)
 繰り返し 繰り返して キミは誘う(B)  』
「誘う」の「そ」の音階が、(A)は普通だけど(B)は(A)より半音上がっている。これ増4度。

(後日談)ちなみに平沢さんのツイ恥をさかのぼっていたら、ギプノザ制作時に「ホールトーン」という単語が出てきていた。→2013年6月4日
もちろん音階が好きなのだろうけど、当時のコンセプトが守られているところはスゲーかっこいいし、P-MODELを大事にしているというか、見つけたとき妙にうれしかった。



●3時限目:質問コーナー拡大版

★(「衣装の変遷」の話を受けて)衣装やPVには、当時の状況も反映している。
・ふるへPV→お金を掛けずに面白いことをやる
・Another Day PV→中規模感、中途半端な面白さ
・解凍ラバースーツ→移籍し宣伝にお金を掛けられるようになった

★Karkador、Another Dayの頃、メンバーのムードはピリピリしていた。
ライブではどんどんテンポが上がっていくなど、いちばん激しい時代かもしれないがやりがいがあった。解凍後はシーケンスとか使ってテンポがFixされている。
中野くんと高橋くんの頃は「なかよし!」。師匠と弟子って感じ。


Q:(横川さんへ)歴代P-MODELの衣装で着てみたいものはありますか?
A:ありません! (←食い気味)

Q:カズウさんの好きな、やってみたい曲はなんですか?
A:Jungle bedⅡ、PotpourriI、Looping opposition。
1枚目のIn a model roomはニューウェーブの中のひとつ、いちサンプルという感じだったが、
Potpourri~Another gameで深くなり、似たような音楽が他にないという独自性が確立された。
SCUBA、Goes on ghostは完成形。すばらしい。


★Potpourriでは平沢さんがベースを弾いているが、とても上手。
「美術館で会った人だろ」のギターだけ聴くと、平沢さんの演奏がすごく上手いことがわかる。
同じ曲でも、ベースを誰が弾くかによってノリがぜんぜん違う。
ギターの感覚で弾くとロックぽくなる。横川さんはファンク寄り。テルヲさんのタイム感も違う。

平沢さんが弾いたベースは全部面白い。Solid Airダンスバージョンはとくに。
平沢さんの場合サウンドがまとまって出てくるのでベースラインも決まっている。
ベースラインやニュアンスが変わると曲の雰囲気も変わってしまうので、人間じゃないほうが良い。

★SUCUBA~モンスターの頃、平沢さんは80~70%はユングに傾倒していた。
「仕事場はタブー」などはもろにユングの影響を受けている。
大人になることを拒否しているので、子供→老人へ、幼形のまま成熟していく。
だから大人になるためにブランドを着ればいいと思う→BOGLIOLI。
1ヶ月くらいイタリアでオフを取ることをお勧めする。


Q:平沢さんの歌唱法について。
A:ヨーデルの影響はいつからかよくわからない。
Perspective、Another gameのときに平沢らしい歌唱法を開発した。

Q:平沢さんの作曲しているところは見たことありますか?
A:デモテープで持ってくるので、作曲しているところは見たことがない。
最初、亀有でないと作曲できないと言っていた。作ろうと思えば作れるが、なかなかいい曲が作れなかった。それを、いつでもどこでも作れるように、脳を変えていった。

Q:銀髪の平沢さんについてどう思いますか?
A:ライブ後の楽屋を表敬訪問したときに、「いいねこれ」「いいでしょう」という会話があった。
銀髪にめがねを掛けるといいと思う。

Q:カズウさんの作曲方法について。
A:作曲方法のひとつに、夢の中に平沢さんが出てきて、新曲を歌ってくれるというのがある。