2016年7月23日土曜日

四獣「入り口色の靴」@シアター711

四獣(スーショウ)は、植本潤さん、桂憲一さん、大井靖彦さん、八代進一さんの4人で結成された、
花組芝居の座内ユニット。

そも、花組芝居は自らを「ネオ歌舞伎」と称して活動していて、だから全員男性で、女形も演じる。
この土台があって、さらにわかぎゑふさんの巧妙に入り組んだ作・演出があるものだから、
いつもワクワクするし、いい意味で裏切られる。
今回は、その最たるお芝居だったと思う。

ルーマニアの、元宿屋、に住んでいる一人の女性(その実、亡くなった母になりきっている息子マリウス)、
同居している男性レイと、嵐によって帰れなくなった主治医カール、そこへやってくる日本人編集者ササザキ。
数日間をともに過ごすことになり、その中で湧いてくる疑念と真実。

(このあたり、わたしは地理や歴史的な背景に疎い、正直ちゃんと理解してないところがあり、
しかも時間がたってしまったので細かい部分は覚えていない・・・
しかし徐々に追い詰められていく緊張感をもって観ていた)

後半、レイがカールに向けて発砲するも、それを庇ったマリウスに当たり、マリウスは死んでしまう。
(カールとマリウスは、恋人同士だったのだ)

・・・

どっこい。
この物語は、ササザキを演じた役者を迎えるために?行われた、ある劇団のエチュードだった。

・・・

えええ!うわー、そうゆうことかー。ヤラレタ。

そういえばいろいろ伏線が張ってあるわけですよ。

途中、ヘリの音が煩く鳴り、照明が落ちて、レイ(潤ちゃん)がPAさんに向かってダメ出し、
「(PAさん)OKでーす」というところがあったんだけど。
初見では「ん?トラブル?演出?」とどっちかわからなかった。
エチュードだったら納得。とかね。

しかし、最後の最後、全部エチュードだったんだよ~んとネタバレした後に、マリー変死の
伝説を思わせる演出があって、ぞくり。
夏にぴったりの、たのしいお芝居でした。

植本さん演じるレイの、黒髪で「髪を洗っていたんだ」といいながら登場するところとか、
桂さん演じたカールは、女優さんだったとか、もういろいろ突っ込むとこもあるんだけど笑

他にも伏線あったから、マチネだけ観て帰るつもりが、もっかい観たくなって、
当日券でソワレも観てしまったYO。
(そして最終新幹線に乗り遅れて思いがけず宿泊するってゆう)

演出として、男性のカッコのまま演技をするので、しぐさや物言いから性別を知ることになる。
男性と思いきや実は女性、またはその逆、というまやかしができるのも四獣ならではですね!



◆おまけ
桂さん贔屓のわたしにとって、桂さんの白ニット姿や壁ドンは、もうヨダレモノでした(ヤメロ)。
セクシー極まりない。だのに普段はポワンとしてて、ずるいよなああんなギャップ。

入口色の「靴」ってことで、物販では靴の代わりにサイン入りスリッパを販売。
マチネ後の物販では、植本さんに向かって「桂さんください!」と言ってベージュのスリッパをゲット。
「ボクでゴメンね〜」と優しく対応してくださった植本さん、こちらこそ黒買わなくてごめんなさい。

ソワレ後の物販では「ひとり、独りの遊戯」DVDをゲット。桂さんに対応いただきました!
まっすぐこちらを見て、ありがとうございます。と言ってくださって緊張、感激でした。





2016年7月9日土曜日

花組ヌーベル「恐怖時代」@スズナリ

狂気の太守の愛人である、美貌の持ち主お銀の方。
お銀を中心に繰り広げられる、陰謀と策略と疑心と殺戮の物語。
谷崎潤一郎氏1916年の作。


舞台上には複数の提灯が下げられており、蚊帳が一張。
セットの転換は無く、全員浴衣姿で化粧もなし。
演出ではよくあることだろうけど、観ていたらほんと、セットや衣装なんて
関係ないんだなあと改めて思った。
少しのエフェクトだけで、人も場所もくるりと変わるんだからすごい。

血しぶきは赤い投げテープや赤い紙ふぶきであらわされ、繊細だが迫力がある。
だけど梅野と太守が仰向けでとどめを刺されるとき、吹き戻しでプピー。
こんなシーンで笑いを入れてくるのかと、さすが花組芝居だなあと思いました。


今回、心を鷲掴まれたのは押田さん。
美少年の小姓、伊織之介を演じたのだが、女子か!というほど可愛らしい
しぐさや物言いから一転、キレキレのとんぼ返りに殺陣、冷徹な表情に、
狂気に満ちた梅野惨殺シーン。
冷徹からの狂気、この表情にすっかりやられてしまった。ぞくりとした。

それを言っちゃあ加納さんの表情もほんとうに怖かった(褒め言葉)。
陰謀が暴かれようとするときや、太守の屋敷での氏家、菅沼、梅野の惨殺のとき。
無表情に見やるその視線、甘えた可愛らしい姿とのギャップが怖くて怖くて。
無感情と思いきや、哀しさも含んだようなあの表情は、忘れられない。

笑い要素で、お銀の方が年齢をネタにするところがあったんだけど、
とんでもねえ、加納さんて見るたび若くなってる気がするのね。
あれは何か吸い取っているに違いない。 


あと海千屋さんのハッピーバースデー、一緒にお祝いできて嬉しかったです!

次回公演の桐一葉も、楽しみだア。
その前に四獣、こちらも楽しみ^^


オマケ。
席が「Z」だったから「ああ、うしろかァ」って思っていたら一列目だったのね~。
ちょう間近で観ることができて感激です。
一緒に行ったおともだちは、血しぶき(赤テープね^^;)がかかっていました笑


◆出演(公式HPより)
お銀の方…加納幸和  春藤靭負…原川浩明  氏家左衛門…山下禎啓
春藤家の太守…北沢洋  菅沼八郎…横道毅  珍斎…秋葉陽司
お由良・侍・侍女…松原綾央  細井玄沢・侍・侍女…磯村智彦  梅野…小林大介
磯貝伊織之介…押田健史  侍&侍女…三上竜(研修生)