狂気の太守の愛人である、美貌の持ち主お銀の方。
お銀を中心に繰り広げられる、陰謀と策略と疑心と殺戮の物語。
谷崎潤一郎氏1916年の作。
舞台上には複数の提灯が下げられており、蚊帳が一張。
セットの転換は無く、全員浴衣姿で化粧もなし。
演出ではよくあることだろうけど、観ていたらほんと、セットや衣装なんて
関係ないんだなあと改めて思った。
少しのエフェクトだけで、人も場所もくるりと変わるんだからすごい。
血しぶきは赤い投げテープや赤い紙ふぶきであらわされ、繊細だが迫力がある。
だけど梅野と太守が仰向けでとどめを刺されるとき、吹き戻しでプピー。
こんなシーンで笑いを入れてくるのかと、さすが花組芝居だなあと思いました。
今回、心を鷲掴まれたのは押田さん。
美少年の小姓、伊織之介を演じたのだが、女子か!というほど可愛らしい
しぐさや物言いから一転、キレキレのとんぼ返りに殺陣、冷徹な表情に、
狂気に満ちた梅野惨殺シーン。
冷徹からの狂気、この表情にすっかりやられてしまった。ぞくりとした。
それを言っちゃあ加納さんの表情もほんとうに怖かった(褒め言葉)。
陰謀が暴かれようとするときや、太守の屋敷での氏家、菅沼、梅野の惨殺のとき。
無表情に見やるその視線、甘えた可愛らしい姿とのギャップが怖くて怖くて。
無感情と思いきや、哀しさも含んだようなあの表情は、忘れられない。
笑い要素で、お銀の方が年齢をネタにするところがあったんだけど、
とんでもねえ、加納さんて見るたび若くなってる気がするのね。
あれは何か吸い取っているに違いない。
あと海千屋さんのハッピーバースデー、一緒にお祝いできて嬉しかったです!
次回公演の桐一葉も、楽しみだア。
その前に四獣、こちらも楽しみ^^
オマケ。
席が「Z」だったから「ああ、うしろかァ」って思っていたら一列目だったのね~。
ちょう間近で観ることができて感激です。
一緒に行ったおともだちは、血しぶき(赤テープね^^;)がかかっていました笑
◆出演(公式HPより)
お銀の方…加納幸和 春藤靭負…原川浩明 氏家左衛門…山下禎啓
春藤家の太守…北沢洋 菅沼八郎…横道毅 珍斎…秋葉陽司
お由良・侍・侍女…松原綾央 細井玄沢・侍・侍女…磯村智彦 梅野…小林大介
磯貝伊織之介…押田健史 侍&侍女…三上竜(研修生)
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